2012年4月18日水曜日

穀物高騰、ウズラ卵も直撃

ウズラの卵は小粒で、納豆と混ぜたり、ざるそばのタレに入れたりするのに手ごろな食材。現在スーパーの店頭では、大体1パック(10個入り)で90―100円で売っている。これが4月以降は10円強、値上がりする公算が大きい。生産・出荷会社が値上げに動いているためだ。大手量販向けでは1パック当たり13円前後の引き上げを求めている。

ウズラの卵の卸値は2001年以降、ほぼ横ばいで推移してきた。ただ2月以降、上昇基調を強めており全国最大の豊橋市場では6%、東京市場でも7%上がった。値上がりの最大の要因は穀物高だ。豊橋養鶉(ようじゅん)農業協同組合は「飼料価格が4年間で5割強上がり、値上げしないと農家の経営が成り立たなくなる」と説明する。「ヒナを育てるための暖房用灯油も倍の値段になった」ため、生産農家の数自体が減っている。

国内でのウズラ飼育数は1990年代には約800万羽だったが、現在は600万羽程度に減った。供給が締まっていることもあり、今回の値上げは店頭にも浸透するとみられている。ゆで卵などとして外食・総菜店や学校給食向けに加工して出荷する業務用は、昨秋に3割近く値上げしている。

投機資金の流入もあって穀物や原油の国際価格が上がり、農家の経営を圧迫しているのは牛や豚、鶏など畜産全般に共通する課題だ。値上げの動きはさらに広がるとみた方が良いだろう。大豆や輸入するソバの実も値上がり傾向にあることを考えれば、納豆やざるそばの値上げも考えられる。気が付いたらそば店や定食屋の価格がちょっと上がっていた、という日が近づいているのかも知れない。