2015年2月11日水曜日

深まる孤立感

独力でテポドンを打ち上げ、日米両国を震捕させた北朝鮮は、戦後の東西対立の中で、朝鮮半島を横断する北緯三十八度線を境にして、一九四八年に韓国に続いて建国された国家である。

両者の政治体制は、北朝鮮が社会主義体制、韓国が資本主義体制のため、双方が全朝鮮半島を自国の版図とする唯一の正統国家だと宣言、これまで厳しい対立を続けてきた。

五〇年六月に勃発した朝鮮戦争は、米国と国連が韓国を助け、中国と旧ソ連が北朝鮮を支援する形で、東西両陣営に分かれて戦われたのち、五三年七月に停戦が成立した。以後、四十七年間停戦協定は平和条約に高められることなく、戦争の一時停止状態が今もなお続いている。

この朝鮮戦争で、中国は北朝鮮に加勢したため、中朝関係は「血潮をもって結ばれた同盟」のはずだった。ところが九二年八月、中国は突然、北朝鮮が敵視する韓国と国交を樹立した。

旧ソ連と韓国の国交樹立は九〇年九月で、中国より一足先だった。冷戦終結にともなう旧ソ連・東欧圏崩壊後、唯一の後ろ楯だった中国のこの外交政策の大転換は、北朝鮮に大きな衝撃を与え、孤立化が一段と際立つ事態を迎えた。

朝鮮半島の分断国家の「クロス承認」のバランスを考えるなら、朝鮮戦争を敵味方に分かれて戦った者同士の中韓国交の樹立は、当然のことながら、米朝国交樹立の同時達成が現実化されないと、公平を欠くことになる。それが後回しになったどころか、いつ実現するのかめどすら立たない厳しい状況・・・。北朝鮮にとってそれは、体制の存続にかかわる重大問題となった。

北朝鮮にニラミをきかす在韓米軍は、三万四千人。米国との関係改善を図るか、体制存続の保証を米国から取り付けるか、選択は二つに一つしかない。北朝鮮はいち早く七四年三月に、「米国議会に送る書簡」を発表して以降、米国に対して一貫して、平和協定の締結を提案し、直接交渉を求めてきた。

しかし、米国は北朝鮮を「テロ国家」と断じ、この要求をずっと無視し続けてきた。北朝鮮にとっては切歯掘腕の思いだったが、米国を直接交渉の場に引きずり出すだけの力がなかった。そうした背景から出てきたのが、ほかならぬ「北朝鮮の核疑惑」であった。