2015年11月11日水曜日

グロバールな金融市場の野放図な拡大

国際決済銀行は、一九八六年三月と四月に驚くべき二つの報告書を公開した。一つは委員会レポートと称される。銀行の簿外業務リスク(貸借対照表未記載の対外偶発債務)の明細一観表であり、一つはグリーン・プランと呼ばれる最近の金融資本市場における金融ハイテク技術の詳細な解説書である。両報告とも公的には各国中央銀行に宛てられており、近来日進月歩の市場金融技術の具体的分析であるが、その意図は、各中央銀行の金融資本市場動向監督の実効を向上させるための管理マニュアルである。

ユーロ市場のリスクはただちに個別国内市場の危険に直結する。BISがかかる報告書を出さねばならぬような状況とは一体なんであろうか。これはまさに、グロバールな金融市場の野放図な拡大と、それに伴って、いやそれ以上に拡張しつつある偶発金融リスクの質・量ともにの増幅の実態を、中央銀行の中央銀行ともいうべきBISが、心中深く危惧し、密かに備えるべきとする警世の書であると見るのは杞憂であろうか。