2012年5月14日月曜日

金券ショップ、市場縮小に拍車

手に入りにくいスポーツやコンサートなどのチケットを買い求めようと金券ショップに足を運んだ経験のある人は多いだろう。だが、最近はヤフーオークションをはじめとするインターネット上にチケットが多く流れている影響で、金券市場の縮小が進んでいる。

「10年前に1兆円規模だった金券市場は2―3割縮小した」と語るのは金券販売大手、大黒屋の松藤俊司社長。原因はネット販売の広がりばかりではない。

ハイウェイカードや高速券は1枚数万円することもあり、金券店では売り上げのおよそ2割を占める主力商品だった。しかし高速道路で自動料金収受システム(ETC)が普及し、紙のチケットが消え始めていることが金券市場の縮小に拍車をかけた。ハイウェイカードや高速券に代わって、航空会社の株主優待券が金券店の主力商品になりつつあるといえるが、単価は下がっているという。

新幹線の回数券も金券店の利幅はせいぜい数百円。今春からJR東海などが始める新幹線のチケットレス予約でも料金は割引になる。これを受けて金券店が割安価格で販売する回数券の需要も今後1―2年間で先細りになる可能性が高い。

こうしたことを背景に、金券店の数も減っている。全国には約2000店の金券ショップがあるとされるが、廃業が進み「ここ3年間で金券店の数は約1割減った」(ラッキーコレクション、伊集院浩二社長)。約3年前に600店近かった日本チケット商協同組合の会員数も2007年12月末時点で553店に減少している。

金券販売の利幅は小さい。東京で平均3―5%、大阪で2%程度とされる。商品の縮小やネット販売の拡大を受けて金券店1店当たりの売上げは年間5―10%のペースで落ちているという。大黒屋の07年3月期の全売上高は約650億円。このうちチケットは545億円、中古ブランド品は100億円。チケットが前期比約3%減る一方で中古ブランド品は約10%増と伸びており、ブランド品販売で金券の売り上げ減をカバーしている状況だ。外貨両替サービスを始める金券店も増えており、金券以外で収益の拡大方法を模索しているようだ。